香港映画の路頭に迷う
香港映画に関する著作を手にするのは初めてで、屋上に関する第一章はなるほど!と感心しながら読めました。
が、章が進むにつれ、散漫な文章のせいか、何が言いたいのか判りづらくなってきて、紹介している映画を是非観たい!という気にはなれませんでした。
P186:
入りは悪くないものの、予想通り客席は凍りついたような静けさに支配されていて笑いはくすりとも起こらない。東京の劇場で『2046』を見直すうち、これは途方もない傑作ではないかという思いが強まってきた。
…この文章もよく意味が解らないのに、以降の文章を読んでも”途方もない傑作”の理由が私には理解できませんでした。
巻末の註は読み応えがありましたが、2700円と言う値段は…。
鋭い分析力がない総花的概観書
論旨に斬新さや鋭さがなく、退屈きわまりない本。素人映画ファン向きの本。映画を見ることを、たんなるTVプロ野球観戦的なお茶の間的趣味に還元し、真剣に映画を見ることに取り組んでいない。その意味で本書は映画批評とは呼べず、たんなるファン的記述に終始している。
要するに志の低い本。男子たるもの、映画という大衆文化を論ずるのであれば、もっと壮大な企図の下にどでかい仕事をしてほしかった。本書はちょっとオシャレな本という水準にとどまっていて、東大(助)教授が書いたものとは、とても思えない低水準である。
香港映画への愛情にあふれた一冊。
フランス文学が専門で翻訳家という、香港映画を論じるにはやや異色な野崎歓氏の著書。 氏はおそらくフランス映画を数多く見てこられたはずですが、そのややペダンチックな文体からもそういう経歴がはっきりと見てとれます。 そんな「アカデミックな」著者を捉えて離さない香港映画の底知れぬ 魅力。おそらく著者にも当初は「これはいったいどういうわけなのだ」と自分の中で起きていることがよく分からなかったのでしょう。 そこで、何故こんなにも香港映画が自分を引き付けるのかを検証する為にも、本書を著したのだと思われます。 後書きに「どうしても書きたくなって」とあるのがその何よりの証拠です。内容は、ウォン・カーワイ、ジョン・ウー、ウォン・ジン(王晶)など 香港映画には欠くことのできない監督たちについての考察、ブルース・リー、ジャッキー・チェン、レスリー・チャン、チャウ・シンチーといった香港映画で輝くスターたちと主演作なの紹介、そして香港という都市そのものを論じたり、ハリウッド映画と香港映画との比較など、様々な切り口で香港映画を見せています。 巻末につけられた注釈が充実。本編は約280ページとかなりのボリュームですが、写真の掲載も考えてなされており、香港映画ファンならば必ず楽しめる作品だろうとおもいます。 ただ、ちょっと惜しいのが文体がややくどくどしいこと。 これがもう少しすっきりとしたものであれば、私は間違いなく5つ星を つけました! それでも作品全体を通して、野崎氏の香港映画に対する惜しみない愛情 はしっかりと感じられます。
愛あふれる香港映画案内
読んでいて香港映画が見たくてたまらなくなりました! 大学の先生らしからぬミーハーっぽさと、しっかりした精緻な分析とが絶妙にミックスされていて、読み応え満点。ウォン・カーウァイとチャウ・シンチーとジョン・ウーが同列に論じられることなんて、今まであったでしょうか? 入門者のみならず、年季の入ったファンの復習にも役立ちますよ。香港映画と屋上の関係、なんて思いもよらなかった・・・。とにかく香港映画に対する愛にあふれていて、その点が一番すばらしい!
香港映画の初心者向け。
索引や脚注がしっかりしており、後書きには俳優たちのカタカナ表記に関する筆者の注釈も付いていて、香港映画の入門としては十分。 各章の分析や筆者独自の論点は、アジア映画の大御所である四方田犬彦に比べて、作品比較にミクロな視点が出ているのも丁寧で魅力的。 しかし、説得的な文章とはいえず、ウォン・カーウァイをはじめとする監督たちのインタビューに自分の論拠を求めるなど、すこぶる非力。四方田の方が香港映画の醍醐味を知り尽くしているという感は歪めないだろう。徹底的に香港映画について楽しむには不適切。
青土社
男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望 王家衛(ウォン・カーウァイ)的恋愛 裏街の聖者 香港電影的広東語〈続集〉香港映画で学ぶ広東語 名作・名シーン・名セリフ集 40 LIVES in 香港 素敵な人に会いに行く
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