こぐこぐ自転車



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勇気が湧いてきた

70歳過ぎての自転車乗りに力を貰ったようだ。私は50代だが弱音は吐けまい。疋田智氏の本は最初の頃は良いが、最近は妙に政治がかって鼻につく。その点この本は洒脱なご性格なのかユーモアたっぷりで楽しめた。元来自転車関連の本は気楽に読めなければ意味がない。
ついつい自転車買っちゃった

 まさに70の声を聞こうかという頃、著者の伊藤センセイ、何を思ったか、急に自転車に目覚めてしまいました。爾来、何台もの自転車を衝動買いした上、それらの愛車を駆って都内の川をいくつか下ってみたり、碓氷峠越えを目論んで挫折してみたり、挙句の果てには、同年代のジイサン4人で何と道東一周の大ツーリングを敢行したりしてしまいます。いやはや恐れ入りました。
 本書では、そんな著者が、自転車のあれこれについておりふしに感じたことや、ツーリングの状況などを縦横無尽に語り尽くしています。その文章たるや軽妙にして洒脱、毒やブラックも程好く混ざり合い、実に味のある語り口で、あたかもドクトル・マンボウの自転車バージョンを髣髴させる趣と言えましょうか。
 ところで、この本があまり面白いので、小生もついついスポーツ自転車を購入してしまいました。安くない買い物で、しかも実は2ヶ月ほど前に電動ママチャリを買ったばかり。家庭内でどれほどの物議を醸すことかと心配しましたが、妻にも本書を読ませておいたおかげか、それほどの波乱は生じませんでした。ありがたいことです。
 いずれにせよ、古希を過ぎた大先輩たちがこうして元気にツーリングだのに興じておられるわけですから、小生の如き40男としても須く一念を発起しなければなりません。そんなササヤカな前向きの決意と、そしてたくさんの笑いを与えてくれた一冊です。自転車に興味がある方にはモチロン、そうでない方たちにも、是非おススメしたいと思います。
思わずハラハラドキドキ

うら若き古希の著者が、たとえば杉並の久我山の自宅から軽井沢まで、碓氷峠を越えて、自転車で行こうと計画し、さて出発。果たして無事行けるかどうか、はらはらしながら読んでいると、寄居で、脈拍が異常に早くなる自覚症状を覚え、ビジネスホテルで休みながら、計画を頓挫し、家に帰ろう、と決め、タクシーで帰宅するあたりなど、臨場感にあふれる文章で、無事帰り着いて、翌日は脈拍も、嘘のように正常に戻っているというあたりで、読んでいて、心からほっとしたりする、お会いしたことも、もちろんないのに、親しみを覚える、感じのいい本
余裕の産物

「年寄りの独り言を金出してまで読む気が知れない」と、ぼくの知人は言うのだが、そういうのが好きなんだからしようがない。
なにしろ、「ヘンリ・ライクロフトの手記」なんてのが愛読書なのだから。

老人というのは、偏屈か、ものわかりがいいかのどっちかだと思っていたら、この著者はそのバランスが絶妙だ。毒もたっぷり含んでいるのだが、厭味がない。ま、要するに「人生の余裕」でもって書き上げた逸品ですね。

文章もまったく力みがなく、読みやすい。軽いけれど、決して軽薄ではない。タダモノではないな、と思ったら、なんと伊藤整のご子息なのだそうだ(この本ではそんなことはおくびにも出していない)。

著者がトレーニング(?)で走った多摩川サイクリングロードはぼくもずいぶん走ったので、懐かしく読んだ。また、著者が北海道のホテルで経験した自転車差別(自転車と自転車乗りを邪魔者扱いしがちで、高級車とそれに乗ってきた人を大事にする)はぼくも覚えがある。
笑っているうちに読み終えた。

「自転車のいいのは、目的地をピカピカ光らせてくれるところにある。汽車や自動車ではそんなふうにならない」はこの本の白眉と言っていい名文だと思う。


溢れるユーモアは年の功かはたまた

中学生の頃に国語の教科書に載っていた伊藤製氏の文章は、実に理知的で、賢すぎて何だか息苦しかった印象を抱いたものですが、本書の著者である息子の礼氏の文章は、実に肩の力が抜けており、思わずくくくっと笑ってしまいます。単に古希を迎えたという年齢によるだけのものではなく、礼氏の人柄が存分に読み取れるユーモアに満ちた文章は、読み進むほどに味わい深く面白く、一気に最後まで読み切ってしまいました。




平凡社
華麗なる双輪主義 スタイルのある自転車生活
素晴らしき自転車の旅―サイクルツーリングのすすめ (平凡社新書)
スローサイクリング―自転車散歩と小さな旅のすすめ (平凡社新書)
じてんしゃ日記
吉田自転車 (講談社文庫)