矢内原忠雄「帝国主義下の台湾」精読 (岩波現代文庫―学術)



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矢内原忠雄「帝国主義下の台湾」精読 (岩波現代文庫―学術)

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台湾研究の古典

1929年に発表された原書は、私も大学院の頃、台湾の植民地金融の研究から出発していたので、一応目を通していましたが、今回、今日までの台湾研究の注釈がついた「精読」で、あらためて、この本の古典としての意義を再確認しました。
現在出されている、戦前台湾経済に関することは殆どこの本で表明されており、その先駆性は疑いようもなく、山田盛太郎の『日本資本主義分析』に匹敵する巨大な書物であります。
例えば台湾銀行について詳細に叙述した上で、次のように結論付けています。「以上要するに台湾銀行はただに台湾のみならず、帝国の外国貿易銀行として活動せるものにして、『金融上の関係に止まらず常に当業者を援助して我が輸出品の輸入地における販路拡張を図りまたはその障碍を除去するに怠ら』ざりしものである」
「故に台湾産業の資本家的企業化によりて生産せられし商品蓄積せられし資本は、大阪商船による海運と台湾銀行による金融とに荷われ、そしてこれらすべてに対する政府の援助政策に護られて、南支南洋を主として対外的進出を遂ぐるものである。世界大戦はこれに好機会と刺激を供した。かくて我が帝国主義はその適当な姿勢をとった。台湾はわが資本のために完全に「図南の飛石」となった」と。
また、財政分析も包括的で鋭く、地域研究の古典中の古典であるような感じを受けました。
児玉源太郎、後藤新平も偉かったけど、その批判者たる矢内原忠夫も実に偉い人物だった、といわざるを得ません。これからも台湾経済を考える時の指針となるに違いありません。




岩波書店
台湾―変容し躊躇するアイデンティティ (ちくま新書)