Moody Gets The Blues
時は1978年4月. 時代設定にこだわったのは,やはりベトナム戦争の後遺症や,マリフアナなどの常用が主人公や物語に重要な要素になっているからだろう. ワシントン州スポケンの私立探偵 Scott Moody.スポケンと言えば昔巨人のシピンがいた所.アイダホに近い地方都市. ベトナム戦争で精神的ダメージを受け,今も精神科に通っている.鼻がひどくどうにかなっているらしく,会う人毎に「その鼻は一体全体どうしたんだ?」と聞かれる.答えはいつも違う.「ガキの頃の喧嘩で.」とか「プロのボクサーにやられた.」とか,真相はわからない.曲がっているか,ひしゃげているか,どっちにしろ相当に目立つらしい.その鼻のお陰なのか結構モテる.38才.離婚歴あり.4才の女の子がいる.精神科に入院中に,何度も夢で「大いなる眠り」のハンフリーボガートと話すうち,私立探偵を志すようになった,と言う?普段は夜のタクシー運転手をしている.お客で乗せた弁護士に,「探偵免許を取ったら仕事を回す.」といわれ,これが最初の探偵稼業.出だしは素人だが段々プロの探偵らしくなっていくのがいい. 紹介文でマイケルコナリーは「作者ステーブオリバーはある部分でフイリップマーロウ,またある部分でトラビスビクルの,とてもユニークなヒーロー,スコットムーデイーを作り上げた.」と書いている. 地元のローカル新聞の若い記者が絡むが,初めは相手にしていなかったその若いのが会社でチャンドラーのTrouble Is My Businessを読んでいるのを見て「少なくとも あいつと俺は文学的趣味は一緒だな.」と親しみを覚えていくところなんざあ,こちらもついニヤリとしてしまう. 星4つ.
早川書房
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